CountUs……直訳は「我々を勘定に入れろ」。アメリカのどこかの労働組合がこのスローガンを掲げ、それに呼応した資本側があった。結果としてその会社は、月曜日の生産性や全体的な品質管理で目覚ましい成果を挙げた……という記事を読んだ時に、これは〝風土言語〟だと思った次第。
(中略)
さてこの稿の本題は「会社に対する社員のロイヤリティ」といったものは、有効なりや否やということにある。それ(ロイヤリティというもの)が、「忠誠心」といわれる言葉が内包する胡散くささ込みで語られるなら、真の有効にはほど遠いということがまずひとつ浮かぶ答え。忠誠心というのは「確実に保証された反対給付」がある時にのみ現出する。
(中略)
さておき、反対給付はないがしろにして組織への忠誠を求めるというのは通じないということが言いたかったわけだ。
一方で、Hygiene要因(給与などの必要条件)とMotivation要因(動機づけ条件)との関係で言えば、心が満たされたロイヤリティならば組織に極めつきの有効性をもたらすという別方向の結論がある。物理的な反対給付よりも精神的な満足のほうが人を強く動機づける。自明だ。心が共感で燃えた時、人は強くなる。組織が魔人と化す。それは美しくさえある。この稿は、つまるところこの結論を言うための数十行だったかもしれない。
『暗い奴は暗く生きろ』
- 著者
- 生嶋 誠士郎
- 出版社
- 新風舎/22世紀アート
- 出版年
- 2007年