目標志向性の高さとゲーム感覚 生嶋 誠士郎

社外に出たリクルートOBが一様に言うのが「リクルートの出身者は、目標に向かっていく姿勢が単純明快だ」という感想。筆者の表現では「やるべき時はまず一丸でともかくやる。上司との喧嘩はその後で」ということである。

組織も個人もいつも明確な目標をもっている状態、それがリクルートの成長を支えてきた。それは例えば課長が、新入社員に正しく目標を提示出来る姿であること、そういう資質と組織としての仕組みをもっているということである。「あなたは今期、何をなすとエライのか」が明確であるのは快感である。当然である。

(中略)

では「快感目標」であるためには何か必要か。さきに手段としての各論を挙げた。個人目標の設定とその評価が丁寧に行われていることがそれである。

そして「快感」を支える本質、それが「ゲーム感覚」なのだと思う。

(中略)

ただ、「あなたは自らの意思で今のこの組織を選んでいるから、今ここにいるのだ」という言葉も同時に受け止めなければなるまい。

たかがゲーム、されどゲーム。

意味無意味は、その主体への思い入れの深さによってのみ決まるのだ。

『暗い奴は暗く生きろ』

著者
生嶋 誠士郎
出版社
新風舎/22世紀アート
出版年
2007年