日替わりスター主義 生嶋 誠士郎

風土言語のひとつであるが、言葉にさしたるひねりはない。別稿の「組織の非搾取性」と関連づけられる言葉である。実際にあのヒットを打ったのは誰かが明確に認識され、その人をみんなで拍手して迎えようという気分。別に部長や課長が偉いわけでもスターでもないんだよという風土。ましてや役員をや。

ここで大切なのはいわゆる花形部署のメンバーが良い仕事をしたのを「日替わりのスター」にするだけでは無いということだろう。目立たない地味な仕事をしっかり地道にこなしている人も、いやそういう人こそスターだという思いの共通認識である。地味な守りをやってくれている人がいるから派手な攻撃へ心ゆくまで邁進出来るのだという感覚なのだ。

イラスト入りの「トイレ壁新聞」(2006年5月現在では「すかっと通信」という名前)で社内マナーやお知らせを丁寧にかつ面白く書いてくれている総務部の女性のAさんが、例えば今日のスターなのだ。みんなで心をこめて拍手をする。

思い出す。トップ営業マンよりも人気があった掃除のおばさんがいたなー

『暗い奴は暗く生きろ』

著者
生嶋 誠士郎
出版社
新風舎/22世紀アート
出版年
2007年