問い続けよ「君はどう思う?」と 生嶋 誠士郎

リクルートの風土の特質についてOBにインタビューを試みたことがある。ハッキリしたことは、リクルート一筋の人よりも、中途入社してきてその後転職した人のほうが、はるかに明確な言葉で風土を分析出来るという事実だ。むべなるかな。後者には比較対象があるということだろう。そういう中途入社&再転職組の何人かが口を揃えたのが、この「君はどう思う?」。

入社まもなくの会議などで上司からいきなりその問いかけを受け、どぎまぎしたというのである。入社したての人間が意見を求められるとは思わなかった、という感慨。とても驚いたという。これにはインタビューした当方が、実は驚いた次第。発見と言ってもよい。リクルートではごく一般的な光景だったのだが……。なるほど、若い者は黙って与えられた仕事をこなせばよい、というあり様が一般的なのか。本当か。本当らしい。

筆者に言わせれば「中途の人を含めて新入社員というのは、おおむねすぐ仕事にはならない。価値は〝異質〟であることのみ」なのである。学生であった視点、他社の文化と比較した見解、そういった異質の価値観こそが新人の価値だと思う。

それ故、筆者は彼らに「会社に早く慣れろ」とは決して言わなかった。むしろ「可能な限り慣れるな」と。多大な手間とコストをかけたせっかくの新入りを、旧社員と同じ発想の者に仕立てることを急ぐ愚は避けよう。どうせすぐ慣れるのだし。

ともあれ、新しい人、新しい血がもたらす異質な価値観を取り込んで、それまでの風土をより練度の高いものにしていこうとの志こそが、まっとうな風土への道である。ならば問い続けよう。「君はどう思う?」と。

『暗い奴は暗く生きろ』

著者
生嶋 誠士郎
出版社
新風舎/22世紀アート
出版年
2007年