リクルートの社内では管理職に重要なアイテムとして「要・共・通・信」という言葉がよく使われた。要望性、共感性、通意性、信頼 性の略である。
(中略)
さて本題。前述の4アイテムを簡略化すれば「要望性と共感性」である。自分が部下だったとしたらどんな上司が望ましいか。
ひとつは要望性。組織構成員の一人ひとりの資質を見極め、この半年間でやるべきこと、つまり目標を明解に打ち出してくれる上司。 その結果を評価に正しく反映してくれる上司、そして組織全体が進むべき道をいつも明確に提示出来る上司、こういう上司が望ましいわ けだ。マネジメントとは畢寛、「あの旗を撃て」と言えることだから。そして別のところでも書いているが、明確な目標はメンバーの快感である。
さてもうひとつは共感性。要望を出すにあたって自らも率先する上司。場合によっては全面的に任せてくれて「責任は取る」と言って くれる上司。体調や人間関係などのわずらいにさりげなく気を使ってくれる上司。こんな上司にはついて行きたくなるわけだ。了不ジメ ントの極意のひとつが「その気にさせてチームプレイ」にあるわけだから。それぞれがお互いをカバーし合える組織は強い。三遊間に穴が無い。
そこで要望性と共感性のバランスマネジメント。
要望性の高い上司のもとの組織は突撃する力が強い。共感性の高い上司のもとの組織は苦境で粘る力が強い。しかして要望性だけの上司の組織は、あるとき離反が起こる。「あんたがやれば……」。場合によっては「鉄砲玉がうしろから飛んで来る」という事態にもなる。上司はあえなく憤死。
共感性だけの上司の組織も、あるとき離反が起こる。「いい人なのはわかるけど、いつもあやふや・・・」。上司はある日、ないがしろにされる。 それで要望と共感のバランス。
(以下略)
『暗い奴は暗く生きろ』
- 著者
- 生嶋 誠士郎
- 出版社
- 新風舎/22世紀アート
- 出版年
- 2007年