あなたは会社に所属していない。チームに所属している。 生嶋 誠士郎

これは、筆者が大きな組織の担当役員であった時の発見から生まれた言葉である。

営業期の始まりにキックオフミーティングというのを開催するのだが、それはまず部門全体で行い、次に各部長が自分主催で行い、最後には課ごとの会議と宴会になる。

筆者は全体ミーティングの後に部ごとの会議でも話をし、ついでいくつかの「課の飲み会」にも顔を出す。このような、お座敷かけもち芸人のような1日が年に数回あった。ここでの感慨。「メンバーはどう見ても、課ごとになったときに顔つきが変わっている。参加感が顔に出ている。なるほどさすれば部門全体会議は担当役員の自分がもっとも満足している場で、部会は部長のための場、課という単位(おおむね10人前後)になって初めて〝ひとつのまとまり感〟がメンバーに感じられるということだ」

(中略)

受け止める側も覚悟が必要だろう。組織から参加の場が手厚く用意されたとしても、それに当事者としての責任を自覚して参加するのでなければ、それはやはり〝見物人〟にすぎない。

先に書いた「このチームの良し悪しに自分も加担している」というまことに法外ともいえる自覚なくしては、チームプレーの一員になれないのだ。

ある日、心の壁を超えてみんながその境地になれたときのチームは、ものすごく楽しい。そして強い。

『暗い奴は暗く生きろ』

著者
生嶋 誠士郎
出版社
新風舎/22世紀アート
出版年
2007年