風土は無形文化財である “タンポポ野郎” 健在なれ 生嶋 誠士郎

『最近、リクルートらしさが失われてきている気がするんですが・・・」

何人かの後輩がそう感想をもらすたびに筆者が言った言葉。

〔 企業風土は無形文化財みたいなものであるから、それを守りたいという人達にとってのみ意味をもつ。 それゆえ、今の役員がそれを守るべき文化財と考えるか否かに、風土の存続はかかっている〕。

同時に次のようなことを伝えた。

「大丈夫、風土の良い部分は、先の物言い(役員の意識云々)を超えて必ず生き残る。ちょうどタンポポの ように、踏まれても踏まれても、また花を咲かせる。そうして社内で、あるいは転職しての別の会社で、そ の良い風土を伝承していく人たちを  “タンポポ野郎” と呼ぶことにしよう」

この会話では「良い風土とは何か」とか、「失われているものは何か」という点は検証されていない。お 互いの暗黙の了解が正鵠を射ているのかも定かでない。言いたかったのは、もし風土のどこかが無形文化財 であるならば、計算とは全く別の思念で守り育てるべきだろうということ。そういう計算外の情念を抱くこ とが出来る人達によってのみ、風土は正しく守られもし、また正しく捨てられもするのだと思う。

『暗い奴は暗く生きろ』

著者
生嶋 誠士郎
出版社
新風舎/22世紀アート
出版年
2007年